抄録
DEMやその他のラスタ型数値地図 (地形分類・地質・土壌・植生・気候・水文などのグリッドマップ) をリモートセンシングや高炭酸ガス気候下の環境変化のシミュレーションに利用することについて実例をあげて展望を行った.DEMに合わせてリサンプリングして作られた画像に対しては, その被覆分類結果 (植生図など) に対してDEMや気象データを用いて地形や気候の情報を付加できるので, これらのデータの利用価値が飛躍的に増加する.農業的土地利用や自然植生帯の分布は主として地形や夏の暖かさによって規制されている.そこでこの関係を基に地球温暖化の影響がどのように現れるか数値地図上でシミュレートすることができる.最後にこのようなシミュレーションやリモートセンシングにラスタ型数値地図を利用するための処理システムについて概観した.とくにDEMにおける流域処理については具体的なアルゴリズムを示した.地形学の地形計測や水文学の流出解析において流域処理が可能となることの意義は大きい.