抄録
年代測定試料に混入する異質粒子の排除を目的として, フィッショントラック測定と結晶形記載法をおこない・これらの結果の統計解析を行なった.その結果, 適合度検定によりHZ0-1は, 異質粒子の混在が示唆されたがHZ0-2は示唆されなかった.また, HZ0-1に対し従来行われている異質粒子除去法を適用したが, 結果は改善されないことがわかった.そこで, HZ0-1を結晶形により分割すると, 適合度検定によってひとつは異質粒子が混入している可能性が高く, 他方は低いことが明らかとなった.この分割されたHZ0-1の粒子群のうち, 異質粒子の存在する可能性の小さいものは,
HZ0-2と同一母集団から抽出されたジルコンであることが統計的に推定された.これらの結果から, 年代測定試料に含まれる異質粒子の除去のためには結晶形記載法と統計解析は有効であり, 測定精度の向上のために必要な手法であると考えられる.