地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
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論説
糸魚川—静岡構造線活断層系南部, 白州断層の活動履歴の再検討
—横手地点トレンチ調査—
三浦 大助幡谷 竜太宮腰 勝義井上 大榮小俣 雅志佐々木 俊法川崎 泰照佐藤 賢宮脇 明子田中 竹延宮脇 理一郎
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2004 年 110 巻 5 号 p. 255-270

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抄録

糸—静線活断層系南部の白州断層の活動履歴を再検討した. 白州断層南部には, 北西—南東方向に連続する2列の断層崖 (東・西断層崖) が分布し, 西側の断層上のトレンチ調査結果から2回の古地震イベントが明らかとなった. これらは1695~2720 cal y BPおよび7325~8360 cal y BPの間と考えられ, 後者は東側の断層上の最新地震イベント発生時期と近い. トレンチ調査による西側断層の活動間隔は約5000年, 鉛直の平均変位速度は0.4-0.6(-0.7) mm/yrである. 白州断層全体の鉛直の平均変位速度はイベント間で0.4-0.8 mm/yr, 周辺の変形を含めると1.0-1.8 mm/yrとなり, 少なくとも1.0 mm/yrのネットスリップ速度を持つ可能性が高い. トレンチの断層産状は横ずれ成分を含む斜めすべりを示すフラワー状構造であり, 従来の見解である西傾斜の衝上断層と区別できる.

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© 2004 日本地質学会
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