新潟堆積盆は東北日本弧に属する新第三紀背弧盆地の一つで,新潟県の海域および陸域に分布する.本検討では,最新の陸海域の地下データを用いて盆地全体の構造解釈を行い,構造形成史についての理解を得た.
新潟堆積盆は,シンリフト期に小佐渡リッジおよび越後山地内部のホルスト間に位置する大規模なグラーベンとして形成され始めた.これら大規模リフト構造の内部には小規模リフト構造も形成されたが,同時期の火山岩および堆積岩により埋積された.トランジショナル期には,堆積盆内部で堆積・沈降が進み,現在認識される堆積盆の輪郭が明瞭になる一方,堆積盆内部の小地形は平坦化した.圧縮期には正断層の再動により盆地内にNNE–SSW方向の背斜が発達した. 本検討では,すべてのグリーンタフ油・ガス田は新潟堆積盆内部の背斜構造上に成立すると解釈され,グリーンタフ石油システムに対する圧縮構造変形の重要性が強く認識された.
淡路島南西部の西淡山地周辺の鮮新–更新統大阪層群の層位を明らかにすることを目的に,西淡~中部地域の火山灰層序を火山ガラスの主要・微量成分化学組成などに基づき再検討し,これらの地域に適応できる火山灰層序を構築した.西淡山地周辺では計5枚の火山灰層を識別した.また,淡路島中部地域の火山灰層を再記載し,従来の火山灰層序を一部修正した.西淡地域には倭文火山灰層,研城ヶ丘1火山灰層,丸山火山灰層,研城ヶ丘2火山灰層,角川火山灰層が分布し,西淡観測井コアのSD187–188火山灰層は角川火山灰層に対比された.岩相と火山灰層の対比結果から西淡山地周辺には,結晶片岩礫を含まない愛宕層が分布する.広域火山灰層との層位関係に基づくと,愛宕層の堆積年代は後期鮮新世~前期更新世に制約される.
北海道幌加内町添牛内地域に分布する新第三系築別層の三十線沢含化石砂岩部層は粗粒な礫岩・砂岩から構成され,大型化石を豊富に含んでいる.砕屑物は蛇紋岩片やクロムスピネルを主体とするが,神居古潭変成岩類に由来するとみられる青色角閃石や,主に超苦鉄質岩から構成される幌加内オフィオライト下部層中の貫入岩またはレンズ状岩体に由来すると推定される微閃緑岩~微斑レイ岩の礫を含んでいる.
We established a high-resolution chronostratigraphy in order to reconstruct the depositional paleoenvironment of the Miocene Onnagawa Formation in Akita Prefecture, NE Japan, based on a laser ablation-ICP-mass spectrometry (LA–ICP–MS) zircon U–Pb dating of two tuff beds that occur within the formation in the Yashima Area. The lower and middle parts of the Onnagawa Formation yielded ages of 12.7±0.2 Ma and 10.8±0.3 Ma (2σ), respectively. Accordingly, the stratigraphic interval that was previously defined as the Onnagawa Formation in this area was re-classified into the Sugota and Onnagawa formations in ascending stratigraphic order. The boundary between these formations has been dated to 14.2–13.4 Ma. The updated chronology indicates a high sedimentation rate at 69–378 m/m.y. during the period 11.5–10.8 Ma.
青森県下北半島北部の海食崖で観察される中部更新統田名部層について,堆積環境,形成プロセスならびにシーケンス層序の検討を行った.田名部層の構成堆積相とそれらに挟在する広域テフラTn-A–Cの層位関係,ならびに酸素同位体比曲線(Marine oxygen Isotope Stage:以下,MIS)との対応関係に基づき,MIS 11–7の時期に形成された3つの堆積シーケンス(DS1–3)を田名部層で識別した.DS1(MIS 11)とDS3(MIS 8–7)は開析谷埋積物と三次元デューン堆積物,DS2(MIS 10–9)は礫質砂嘴堆積物で主に構成される.三次元デューン堆積物や礫質砂嘴堆積物が示す古流向の特徴から,高海水準期には現在の恐山山地と尻屋崎の間の海峡を陸奥湾から津軽海峡へ北西–北方向に流入する海流が存在していたことが解釈される.
Dikes and mineral veins are formed by the injection of crustal fluids into fractures. Repeated influx of fluid with varying pressure results in the formation of those dilational fractures. Their orientations reflect the prevailing stress condition at the time of their formation. The orientations can be used to infer the stress regime and the maximum fluid pressure during fracturing. In this paper, we explain the driving pressure index (DPI) defined by Faye et al. (2018). The DPI represents the driving pressure ratios of the overpressured geofluids that formed a swarm of dilational fractures, and is a conservative and approximate estimate of the highest driving fluid pressure ratio observed amongst multiple high-pressure fluid influx events. Several applications of the DPI in the interpretation of crustal fluid activity are also introduced.
磐梯火山南西麓に分布する3層の岩屑なだれ堆積物(下位から翁島岩屑なだれ堆積物,磐根岩屑なだれ堆積物,古観音岩屑なだれ堆積物),流れ山,および火山体を対比した.流れ山の縦断分布特性は,給源からの距離7 kmを境に変化し,7 km以内の流れ山は分布とサイズに基づきGroup A,Group Bに細分される.翁島岩屑なだれ堆積物(46 ka),磐根岩屑なだれ堆積物,Group A,Group Bの岩石学的特徴は磐梯火山新期火山体と類似し,層序,分布,岩石学的特徴から,給源から7 km以遠の流れ山が翁島岩屑なだれ堆積物と,Group Aが磐根岩屑なだれ堆積物と対比される.一方,Group Bが対比される岩屑なだれ堆積物は見出されていない.古観音岩屑なだれ堆積物(18~17 ka)の岩石学的特徴は,すでに活動を停止していた猫魔火山新期火山体と類似し,これに対比される流れ山は見当たらない.
「固着すべり」は地震を起こすタイプの摩擦すべりである.固着すべりは,摩擦面が速度弱化特性を有し,システムの弾性が十分小さい場合に発生する.断層岩の速度弱化特性に関する研究は盛んに行われてきたが,沈み込み帯の地殻の弾性特性は不明のままであった.沈み込み帯上盤を構成する堆積物は埋没深度に応じて岩石化するため,その弾性特性は温度に依存し,地震発生帯の力学モデルを複雑化させる可能性がある.
四万十付加体には過去の地震発生帯が露出しており,本研究では南海トラフの地震発生帯の温度領域である150°Cから350°Cに相当する地質体の砂岩と泥岩の物性と微細組織を調査した.その結果,間隙率は約1.48%,弾性率は約55.12 GPaであり,地震発生帯の幅広い温度域内で一様であった.いずれの砂岩および泥岩も粒界拡散変形により岩石化しており,これが沈み込み帯上盤に均質な弾性特性をもたらしているのかもしれない.
南部北上帯,壷の沢変成岩に伴う氷上花崗岩類中のモナズ石について,電子プローブマイクロアナライザーを用いてU,Th,Pb,希土類元素の定量分析を行なった.モナズ石結晶は高いSi/(Th+U)比を示すコアを持ち,コアはその周囲を低いSi/(Th+U)比を持つマントルに取り囲まれ部分的にマントルによって置換されている.コアとマントルは異なる組成変化傾向を示すため,両者は異なる条件下で形成されたことが示唆される.コアとマントルの分析データはPbO–ThO2*(ThO2*は測定UO2に相当する量のPbを生じる仮想的ThO2と測定ThO2との合計量)図上でほぼ一直線に配列し,441±33 Ma(2σ)のCHIME年代に相当するアイソクロンを形成する.コアとマントルは,それぞれシルル紀のマグマ活動期とそれに続くシルル紀の熱水活動期に形成されたと解釈される.
山形市郊外盃山–愛宕山地域の下部~中部中新統成沢層をなす火山岩類について,野外地質調査,採取試料の全岩化学組成分析,K-Ar年代測定を実施した.これらに基づき同層の分布および層序を再検討した.同層の主部は,ハイアロクラスタイト様の水冷破砕部を伴う淡緑~淡灰色軽石質火山礫凝灰岩からなり,これに貫入ないし噴出した盃山溶岩,愛宕山溶岩,愛宕山東溶岩,さらにそれらに貫入した暗灰色岩脈群が産する.いずれも水底(海底)火山活動の産物である.全岩化学組成分析では,盃山溶岩,愛宕山溶岩,愛宕山東部溶岩は流紋岩組成,暗灰色岩脈群は安山岩~デイサイト組成を示した.いずれの試料もK-Ar年代測定値について全て誤差の範囲内で約12 Maに一致した.以上より,地質層序が示す一連の溶岩,岩脈群をもたらした海底火成活動は,中期中新世にてほぼ同時期に生じたものと結論される.
紀伊半島東部,三重県朝柄地域の中央構造線沿いに分布する珪長質火山砕屑岩からなる朝柄層と付随する黒雲母トーナル岩のジルコンU–Pb年代測定を行った.朝柄層の層序を再検討し,下位より,松葉谷流紋岩質凝灰岩部層,上出流紋岩質凝灰質砂岩泥岩互層部層,不動谷流紋岩質凝灰角礫岩部層,中出流紋岩質凝灰岩部層に層序区分した.松葉谷流紋岩質凝灰岩部層からは96.1±0.9 Ma,上部の中出流紋岩質凝灰岩部層からは91.7±1.3 Maの年代を得た.これらの年代から,朝柄層は紀伊半島西部から淡路島に分布する泉南流紋岩類に対比される.一方,付随する黒雲母トーナル岩からは79.9±8.9 Maの年代が得られ,この年代は松葉谷流紋岩質凝灰岩部層の約78 Maの小クラスター年代に類似する.このことは黒雲母トーナル岩が松葉谷流紋岩質凝灰岩部層の近傍で約78 Maに貫入し,熱水変質作用を伴った弱い接触変成作用を起こしたと考えられる.
北海道内で行われた膨大な地盤ボーリング調査データおよびそれらに付随するN値測定データを用いて,北海道における表層30 mまでの地質の3次元構造を求めた.さらに,地質学的手法だけでなく,電気探査等の地球物理学的手法によって得られたデータも用いることで,浅部地盤構造の推定精度を高めることを試みた.これらにより,これまで地形学的データにより推定されることの多かった地表下30 mまでの平均S波速度(AVS30)について,地質学的に妥当な結果を得ることができた.求められた強震動予測データは,日本国内の地震減災に大きく寄与することが期待される.