地質学雑誌
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論説
銚子半島先白亜系愛宕山層群中の花崗岩礫のK-Ar年代
戸邉 恵里高木 秀雄高橋 雅紀
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2006 年 112 巻 1 号 p. 98-103

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抄録
銚子地域は,関東平野周辺で先白亜系が露出しているきわめて限られた地域である.銚子において付加体の特徴を有することからジュラ系と想定されている愛宕山層群の帰属の問題を考察するために,その中の礫岩中に含まれる花崗岩類の岩石記載とK-Ar年代測定を実施した.花崗岩礫は中粒角閃石黒雲母花崗閃緑岩~トーナル岩からなり,初生的な磁鉄鉱を含む.比較的新鮮な2試料から得られたK-Ar年代は,黒雲母につき255 Ma,角閃石につき270 Maとなった.このようなペルム紀の年代は,関東山地の古領家帯を特徴づける金勝山石英閃緑岩や,南部北上帯~黒瀬川帯のペルム系中に存在する薄衣式礫岩中の花崗岩礫の年代と一致することが明らかとなった.このことは,西南日本の古領家-黒瀬川帯と東北日本の南部北上帯をつなぐ証拠の一つとして重要である.
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© 2006 日本地質学会
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