抄録
Aso-4火砕流堆積物中に存在する花崗岩マイロナイト異質礫について,その岩石学的検討と年代測定を実施し,朝地地域でマイロナイト化している荷尾杵花崗岩の検討結果と比較した.異質礫はいずれもマイロナイト化した含ざくろ石白雲母花崗岩であり,白雲母のK-Ar年代は98.4 Maであった.この試料中のジルコンのフィッショントラック長の観察結果は,Aso-4火砕流は噴出時に異質礫に年代を若返らせる程の熱は及ぼさなかったことを示す.一方,荷尾杵花崗岩は106 MaのCHIMEモナザイト年代,98.8 Maの白雲母K-Ar年代が明らかとなった.また,両者に含まれるざくろ石の組成範囲も一致する.これらのことから,100 Ma前後に発生したマイロナイト帯が朝地地域から阿蘇火山の地下まで延びていることが予想され,そのトレースは大分-熊本構造線と一致するとともに,九州における中央構造線の西方延長である可能性が示唆される.