抄録
幌満かんらん岩体は,日高山脈の南端部に露出する8×10kmの大きな岩体で,新鮮なかんらん岩からなる造山帯レルゾライト岩体として良く知られている.岩体内部には顕著な層状構造が認められ,ダナイト・ハルツバージャイト・スピネルレルゾライト・斜長石レルゾライト・輝岩および少量の苦鉄質岩からなる.岩体は,これら全ての岩石タイプが成層して層厚3,000mに達する複合岩体を構成し,全体的に滑らかに湾曲したスラブ状の形態を示す.ここでは,幌満かんらん岩体の層状構造に焦点をあてて全ての岩石タイプとその産状を観察し,上部マントルでつくられた層状構造の起源を考察する.