地質学雑誌
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論説
初期カルデラ(環状断層)形成に必要なマグマ溜りの体積変化量
楠本 成寿Agust Gudmundsson竹村 恵二
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2009 年 115 巻 12 号 p. 625-634

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抄録
弾性理論に基づき,初期カルデラ(環状断層)の半径からマグマ溜りの深さを与える解と,環状断層形成に必要とされるマグマ溜りの体積変化量を与える解を解析的に導いた.環状断層の半径とマグマ溜りの深さの関係は,基本的に,弾性定数によって構成される比例係数を持つ線形関数で表現されることが,点力源モデルにより示された.有限球モデルでは,この比例係数に,マグマ溜りの半径と深さの比が含まれることが示された.環状断層形成に必要とされる体積変化量は,点力源モデルではマグマ溜りの深さの3乗に比例すること,有限球モデルではマグマ溜りの深さの3乗に比例する第1項と,マグマ溜りの半径の3乗の比例する第2項からなることが示された.本論で示した解は,マグマ溜りの深さとカルデラ形成に必要な体積変化量についての有用な一次近似情報を与えると思われる.
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© 2009 日本地質学会
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