地質学雑誌
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論説
夜久野オフィオライト朝来岩体における古生代海洋内島弧地殻の形成と進化過程
隅田 祥光早坂 康隆
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2009 年 115 巻 6 号 p. 266-287

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抄録

兵庫県朝来地域には,古生代海洋内島弧の中~下部地殻に由来する夜久野オフィオライト朝来岩体が露出する.本研究では夜久野古島弧の基盤地殻を構成する苦鉄質岩類の起源について,そしてSuda(2004)が報告したミグマタイトの産状分類に基づいた島弧花崗岩類の形成過程について,地球化学的手法を用いたモデル計算を行い検討した.結果,以下のことが示された.朝来岩体では背弧盆地殻に由来した基盤地殻が部分融解し,珪長質メルトが形成された.これら珪長質メルトは集積,上昇する過程で結晶分化しながらマグマへと成長し,キュームレイトに相当するものが主にミグマタイト中のリューコソムとして下部地殻相当域に,一方,残液に相当するものが岩脈,岩床として主に中部地殻相当域に残された.朝来岩体には,島弧下部地殻の部分融解過程と,島弧花崗岩質マグマの形成と発達による地殻の安山岩質化過程を示すまさにその現行段階が残されている.

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© 2009 日本地質学会
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