抄録
東京低地と中川低地における沖積層は,1960年代より下位の淡水~汽水成の七号地層と上位の海成の有楽町層に区分され,七号地層が相対的にN値の高い層相,有楽町層が相対的にN値の低い層相を示すことから,その層序区分は土質工学的にも活用されてきた.8本のボーリングコア堆積物の堆積相と放射性炭素年代値をもとに,東京低地と中川低地の沖積層の層序と物性を整理したところ,同地域の沖積層は,下位より,相対的にN値の高い河成の網状河川と蛇行河川システム,相対的にN値の低い海成のエスチュアリーと砂嘴,デルタシステムに区分され,河成と海成の堆積システムでは泥分含有率と含水率の相関が大きく異なることが明らかになった.このような特徴から,沖積層を2部層に区分する際の七号地・有楽町層境界は,今後,蛇行河川・エスチュアリーシステム境界に設定すべきであり,その層相は貝化石や生痕化石の有無に着目することによって容易に識別できる.