抄録
青森県津軽半島北西部に分布する磯松層は,権現崎層を不整合に覆い,下部より礫岩,砂岩ブロックを伴う凝灰岩,礫質砂岩,礫岩,泥岩からなり,海棲軟体動物化石を産する.磯松層の堆積相や層厚の特徴は,それがハーフグラーベン堆積物である可能性を示す.五所川原市磯松川上流に露出する磯松層中部から採取したカキ殻のストロンチウム同位体比(87Sr/86Sr)を測定した結果,20.4±0.2 Maの年代を得た.既存の放射年代データも合わせて,磯松層は前期中新世後期の約20-17 Maの範囲にあると結論づけた.磯松層から産出する貝化石は,津軽地域の新第三系で最も古い海棲動物化石の記録であり,前期中新世後期(約20-17 Ma)に津軽地域に新第三紀最初の海進が起こった可能性を示す.このイベントは日本海北部の玄武岩の形成年代に一致することから,磯松層を堆積させた海進は日本海拡大に関連したイベントである可能性が高い.