地質学雑誌
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論説
IKONOS高分解能衛星画像と現地踏査を併用したブルカノ式噴火噴出物の解析:
浅間火山2004年9月1日噴火を例に
阪上 雅之佐々木 寿三宅 康幸向山 栄
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2011 年 117 巻 12 号 p. 671-685

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抄録
浅間火山2004年9月1日噴火(以下,9/1噴火と略す)について未解明であった火口西側地域を中心に現地踏査を行った.さらに,高分解能衛星画像の判読結果や室内分析および火山監視画像の解析から9/1噴火による本質物(パン皮状火山弾)を特定し,それらの分布を明らかにした.地層を形成しにくいブルカノ式噴火噴出物の分布を現地で把握するために,高分解能衛星画像が有効であった.現地踏査単独ではブルカノ式噴火噴出物の把握は難しいため,平常時より高分解能衛星画像や空中写真の整備など,噴火前後の微地形変化を比較できる準備が必要である.特定した本質物(パン皮状火山弾)を用いて,9/1噴火をもたらしたマグマの実態を推定した.含水量測定の結果より算出されたマグマ深度の差から,マグマ柱は鉛直方向に少なくとも180 m程度の高さであったと考えられる.
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© 2011 日本地質学会
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