地質学雑誌
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論説
宮城県沖大地震の前兆を捉えるための深層地下水変動研究:2004年6月~2007年12月の観測結果
南須原 美恵鹿島 雄介中村 隆志山内 常生大槻 憲四郎
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2011 年 117 巻 2 号 p. 63-78

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抄録
宮城県沖大地震に関連した前兆的地下水変動を検出するため,逆断層性活断層の上盤側にある深層孔井を選び,自動リアルタイムデータ受信システムを備えた観測網を構築した.孔井2本の水理学的条件,気圧,地球潮汐,降水の影響,水温観測の解像度を検討した後,観測期間2004年4月6日 から2007年末までに起こった地震の中から地震に関連した可能性のある3つの水温変動を同定した.それらは2005年12月2日の宮城県沖地震(MJ 6.6)の本震の2.7時間前から始まる0.003℃の低下,2007年4月12日に仙台湾で起こった浅発地震(MJ 4.5)の2時間前から始まった0.0012℃の上昇,および2007年5月29日に宮城県北部で起こった浅発地震(MJ 4)と同時の0.02℃に達する低下である.もし,将来の宮城県沖大地震がMJ 6.5以上の地震に相当する先駆すべりを伴うなら,我々の観測システムはそれを前兆的温度変化として捉え得る可能性がある.
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© 2011 日本地質学会
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