地質学雑誌
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論説
山口県後期白亜紀防府バソリスの三次元形態:地質・岩石と重力異常からの推定
今岡 照喜小室 裕明山脇 恵理香金折 裕司大川 侑里金田 孝典山本 明彦
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2012 年 118 巻 12 号 p. 782-800

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抄録
後期白亜紀防府バソリスの三次元形態と貫入・定置機構を解明するために,地質・岩石と重力異常を検討した.本バソリスは岩石組織や鉱物粒度などの岩相の違いによって粗粒花崗岩,中粒花崗岩,花崗閃緑岩,斑状花崗岩および細粒花崗岩に区分され,それらはシート状花崗岩の累重により構成される.最上部の定置深度は同時代の火山岩層に貫入することから地下2 km以内と考えられる.防府バソリスの分布域は負の重力異常域とよく一致し,とくに椹野川−大原湖断層と佐波川断層に挟まれた北東部でそれが顕著である.本バソリスは水平方向に33 × 48 kmにわたって広がり,重力異常を使ったモデル計算から,厚さ500−3,500 mと見積もられることから,水平に広がった薄い平板状岩体であると見なされる.バソリス下底面の深度が3,000 mを超える部分が断層近傍に見られることから,花崗岩マグマの供給口は断層に規制されていると考えられる.
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© 2012 日本地質学会
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