地質学雑誌
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論説
東北日本,仙岩地熱地域南部,高倉火山の山体形成史とマグマ供給系
中谷 咲子長谷川 健藤縄 明彦照井 肇子
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2013 年 119 巻 7 号 p. 457-473

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抄録

仙岩地熱地域の南端に位置する高倉火山は,小高倉火山,丸森火山とともに形成する火山列の中央部を構成する.本研究では,初めて,高倉火山の詳細な噴出物層序を確立した.本火山は噴出口が異なる2火山錐よりなり,本研究では旧,新火山錐の噴出物を各々滝ノ沢溶岩類,高倉山溶岩類と呼ぶ.露頭における岩相,構成岩石の記載岩石学的特徴,全岩組成から,前者は13,後者は17のユニットに細分できた.これらの噴出年代は約40万年前に集中する.
高倉火山噴出物は低カリウムソレアイト系列の玄武岩質安山岩~安山岩を主体とし,デイサイトがまれに認められる.岩石化学的には,2溶岩類の地質区分に関係なく,形成史を通じてZr含有レベルの異なる2グループが共存し,両者は互いに異なる進化傾向や化学特性,および斑晶モード組成を示す.このことは両グループが互いに独立したマグマ供給系由来である事を示唆する.

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© 2013 日本地質学会
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