抄録
電中研横須賀地区の実証研究では,高レベル放射性廃棄物等の地層処分地の選定調査において,深部地質環境を地表から調査するための主要な技術であるボーリング調査,地表物理探査に対し,地質環境の条件に応じた適用性を確認することを目的として,当該地点に分布し互いに地質・岩盤性状の異なる新第三紀の地層群(三浦層群と葉山層群)を対象に,2006年度以降段階的かつ体系的な調査を実施してきた.本論では,横須賀地区で2010年度までに実施した一連の調査結果を基に,沿岸域堆積軟岩地点を例として,調査範囲が狭小などの調査実施上の制約の中で,調査段階に応じた地質環境モデルの更新に伴い,調査・解析結果の整合性や不確実性の確認を実施することにより,適用した調査手法の有効性について検討を行った.その結果に基づき,地質環境の条件や調査段階に応じた調査手法選定の考え方,および地質環境モデルの信頼性向上のための課題と方策を提示する.