地質学雑誌
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日本地質学会第121年学術大会(2014年・鹿児島)巡検案内書
世界遺産の島・屋久島の地質と成り立ち
安間 了山本 由弦下司 信夫七山 太中川 正二郎
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2014 年 120 巻 Supplement 号 p. S101-S125

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抄録

世界自然遺産・屋久島の生物多様性を支えるのは海洋性の環境の中に現出する高山地形である.多くの海洋島が火山からなるのに対して,屋久島の基盤を構成するのは四万十帯の砕屑性堆積岩類と屋久島花崗岩である.本巡検では高山を形成する屋久島花崗岩の貫入機構を,正長石巨晶の定方向配列,岩脈の分布,貫入に伴う母岩の変形と接触変成作用の観察を通して議論する.母岩の四万十帯の地層や枕状溶岩の産状,付加体中での圧密,メランジュやデュープレックス構造の形成,地震による液状化構造がどのような順序で発達したかを観察し,付加体の変形史とメランジュの認定基準について議論する.また鬼界カルデラの噴火に伴う火砕流堆積物の産状,噴火による地震が引き起こした液状化などの構造を観察し,海中における爆発的噴火がもたらしうる災害のシナリオを検討する.

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© 2014 日本地質学会
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