地質学雑誌
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巡検案内書:第123年学術大会(2016年東京・桜上水大会)
丹沢山地の地質:
伊豆衝突帯のジオダイナミクス
石川 正弘谷 健一郎桑谷 立金丸 龍夫小林 健太
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2016 年 122 巻 7 号 p. 291-304

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抄録

丹沢層群および丹沢複合深成岩体は,かつての伊豆小笠原弧の火成活動に伴うものと考えられ,丹沢層群と深成岩体は,伊豆小笠原弧の上部地殻と中部地殻が島弧衝突に伴って隆起・露出したと解釈されてきた.しかし近年,丹沢複合深成岩体について岩石学,地球年代学,地球化学,岩石磁気学的な手法を使った再検討が行われ,深成岩体は中部地殻断面ではなく,衝突マグマ活動によって形成されたことが明らかにされた.さらに,丹沢変成岩から組成累帯構造を持つ角閃石が見つかり,従来説の接触変成作用だけではなく,非常に暖かいスラブの沈み込みとそれに続く急上昇プロセスが明らかにされつつある.このように丹沢山地の深成岩と変成岩の形成プロセスに関する視点は今まさに大きく転換しつつある.今回の地質巡検では,伊豆衝突帯のジオダイナミクスという視点から丹沢山地に分布する丹沢層群,丹沢変成岩,丹沢複合深成岩体,足柄層群,神縄断層を案内する.

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© 2016 日本地質学会
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