地質学雑誌
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巡検案内書:第123年学術大会(2016年東京・桜上水大会)
房総半島南部沿岸の海岸段丘と津波堆積物に記録された関東地震の履歴
宍倉 正展鎌滝 孝信藤原 治
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2016 年 122 巻 7 号 p. 357-370

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抄録

フィリピン海プレートが沈み込む相模トラフ沿いでは,過去からプレート間地震(いわゆる関東地震)がくり返し生じてきた.歴史上に記録されている1703年元禄関東地震と1923年大正関東地震では,南関東沿岸に地殻変動を伴い,大きな津波が襲ったことが知られている.地殻変動は海岸段丘などの離水海岸地形や隆起生物遺骸として,また津波は津波堆積物として,それぞれ地形や地層に記録されている.房総半島南部沿岸では,地殻変動や津波の影響を特に大きく受け,複数のレベルに海岸段丘が発達していたり,縄文海進期の内湾堆積物中に複数枚の津波堆積物が挟まれていたりする.これらの記録を解読することで,過去7000年から8000年以上に渡る地震や津波の履歴を復元することができる.

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© 2016 日本地質学会
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