地質学雑誌
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総説
東北地方太平洋側における古津波堆積物の研究
澤井 祐紀
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2017 年 123 巻 10 号 p. 819-830

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抄録

本論は東北地方太平洋沿岸で行われた古津波堆積物に関する研究について総括する.東北地方における古津波痕跡に関する地質調査は,1980年代の日本海側で始まった.その後,津波堆積物に関する調査は太平洋側で行われ,1611年慶長津波,1454年享徳津波,869年貞観津波の痕跡が見つかっている.1611年慶長津波については,三陸海岸沖に波源を想定する一方で,千島海溝の巨大地震によるものという説もあり,未だ決着がついていない.1454年享徳津波および869年貞観津波については,日本海溝中部に波源があると考えられ,その規模はM8クラスである.1454年および869年の津波より前には,幾つかの古津波の痕跡が見つかっているが,その波源についてはまだ明らかになっていない.

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© 2017 日本地質学会
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