2017 年 123 巻 4 号 p. 185-205
本論では,2003年-2013年の10年間のIntegrated Ocean Drilling Program(IODP)で行われた掘削のうち,中央海嶺で形成された海洋プレートの深部起源である斑れい岩やかんらん岩が採取された航海について,記載岩石学的,地球化学的内容を中心にまとめた.主要な貢献は(1)海洋コアコンプレックスの成因に関する1400mを超える斑れい岩が採取された大西洋アトランティス・マッシーフにおける掘削孔U1309(304/305航海),(2)高速拡大系ココスプレートで世界初の海洋斑れい岩採取された掘削孔1256D(206, 309, 312, 335航海),(3)高速拡大系の東太平洋海膨ヘス・ディープからの層状斑れい岩が採取された掘削孔U1415(345航海)である.また掘削調査船「ちきゅう」を用いた将来的なマントル掘削を含む海洋深部岩石掘削計画について紹介した.