地質学雑誌
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論説
照来コールドロン,歌長流紋岩下部凝灰岩の年代:フェムト秒レーザーアブレーション-多重検出器型ICP質量分析法を用いた後期鮮新世ジルコンのウラン-鉛年代測定
羽地 俊樹 工藤 崇仁木 創太平田 岳史
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2023 年 129 巻 1 号 p. 341-354

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抄録

鳥取県と兵庫県の県境付近に分布する照来層群は,照来コールドロンと呼ばれる火山性陥没構造をなす.歌長流紋岩下部凝灰岩は本層群の最初期の地層で,コールドロンの主部を形成したカルデラ噴火の産物である.この噴火時期の制約のため,歌長流紋岩下部凝灰岩のジルコンU‒Pb年代測定を実施した.同位体比は高精度分析が可能なフェムト秒レーザーアブレーション-多重検出器型ICP質量分析計で取得し,年代計算には放射非平衡および非放射壊変起源鉛の補正を考慮したModified 207Pb法を用いた.ジルコン70粒子の238U‒206Pb年代の加重平均は3.03±0.01 Ma(包含係数k=2)であった.これは既報の照来層群の放射年代値と矛盾しない.照来コールドロンを形成した大規模カルデラ噴火は,3.1‒3.0 Ma頃に起こったことが明確となった.

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© 2023 日本地質学会
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