抄録
朝日山地南縁の中新統の地質と年代,古地磁気を調査した.眼鏡橋層と明沢橋層を再定義するとともに中新統の年代層序を確立した.眼鏡橋層主部の上部と弁当沢橋安山岩部層の年代は Chron C5Dr.1r,明沢川凝灰岩部層の年代はChron C5Dn,沼沢層以下の地層に貫入する安山岩の年代は約 15 Ma と判断される.調査地域の地殻はブロック化したが,全体として見ればアジア大陸に対して反時計回りに回転したようだ.調査地域東部では約 17.5 Ma から 15 Maまでの間に大陸に対して 40~50° の反時計回り回転が起こり,それより前の弧内リフト盆地発達時には回転が進行していなかったようだ.明沢向斜は明沢橋層堆積時の成長褶曲と考えられ,形成時期は回転時期と重なる.朝日山地での複雑なブロック回転は 17 Ma から 15 Ma までの間に起こり,日本海の拡大後期,または拡大後期から拡大直後にかけて起こったのであろう.