地質学雑誌
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論説
活断層と非活断層が持つ断層ガウジと滑り面での微細構造比較:山口県北東部,渡川地域での事例研究
相山 光太郎金折 裕司
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2024 年 130 巻 1 号 p. 119-138

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抄録

近年,断層破砕帯を用いた断層活動性評価手法を開発するため,後期更新世以降活動している活断層と,少なくとも後期更新世以降活動していない非活断層で,それぞれ調査・研究が実施されてきている.本研究では,山口市阿東生雲東分渡川に分布する活断層と非活断層を構成する断層ガウジと滑り面の微細構造と,熱水粘土脈の構成鉱物を偏光顕微鏡,XRD,SEM,およびSTEMを用いて解析・比較した.なお,本研究で解析した活断層は,既往研究で長門峡断層と呼ばれている.偏光顕微鏡解析の結果,ガウジ破片(Reworked fault gouge)が活断層の断層ガウジに見つかったが,非活断層の断層ガウジには見られなかった.SEMおよびSTEM解析の結果,非活断層の最新滑り面はランダム配列したイライトに覆われ,重晶石群に横断されていた.このことは,非活断層がこれらの鉱物の生成後に活動していないことを示している.一方,活断層の最新滑り面には鉱物のランダム配列や横断は見られなかった.

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