地質学雑誌
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炭酸塩バイオマットの放射年代測定 : 山梨県増富鉱泉を例として
田中 義太郎山本 政儀田崎 和江
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2001 年 107 巻 11 号 p. 673-680

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抄録
山梨県増富鉱泉の丹生沢には, 表面を緑色のバイオマットに覆われた層状炭酸塩構築物が存在する.その最表面には藻類, シアノバクテリア, 桿菌, 球菌など多種多様な微生物が共生するとともに, これらの光合成代謝活動により, 炭酸塩バイオマットが形成されている.微生物により形成されたカルサイトの形成年代を228Ra-228Th法によって推定した.その結果, バイオマット表層および深さ3 cmは各々135±27日, 216±25日を, さらに深い所(6 cm)は6.6±1.2年の年代を示した.すなわち, この方法はRaを含む温・鉱泉に形成された炭酸塩バイオマットの年代や沈積速度の評価に有効である.
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