地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
山口県中央部, 白亜紀阿武層群の火山層序・構造と佐々並コールドロンの発見
井川 寿之今岡 照喜
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 107 巻 4 号 p. 243-257

詳細
抄録

山口県中央部には後期白亜系の阿武層群が分布し, 下位から嘉年溶結凝灰岩部層, 十種ヶ峰シルト岩部層(以上阿東層), 湯ノ瀬溶結凝灰岩部層, 薄谷山流紋岩質溶岩(以上生雲層), 杣木谷溶結凝灰岩部層, 見付シルト岩部層, 北木間溶結凝灰岩部層, 小吹峠珪長質貫入岩類および小松ヶ谷デイサイト質溶岩(以上佐々並層)に層序区分される.表題の佐々並コールドロン(東西17 km×南北14 km)は佐々並層からなり, 火山活動の休止期(見付シルト岩部層堆積時)を挟んだ杣木谷溶結凝灰岩部層と北木間溶結凝灰岩部層の噴出に関連した2回の陥没により形成され, 陥没後には環状岩脈(小吹峠珪長質貫入岩類)と小松ヶ谷デイサイト質溶岩が貫入した.このコールドロンでは陥没ブロックが数km大に断片化されるpiecemeal陥没が起こり, これらが差別的に沈降することにより, 中央がより深く陥没するすり鉢状の構造と地域的な陥没量の差異が生じた.

著者関連情報
© 日本地質学会
次の記事
feedback
Top