抄録
中央太平洋~西太平洋の深海堆積物のREE濃度はP2O5濃度と非常に良い相関関係をもち, これは燐灰石中に高濃度でREEが含まれることを反映している.この燐灰石の高いREE濃度のために, 太平洋深海堆積物のREE組成は燐灰石の有無に大きく左右される.燐灰石の他に, その豊富な供給量から, レス起源物質も堆積物のREE組成に影響を与えていると考えられる.そこで, 『レス』・『燐灰石』のREE組成を基に, 因子分析を用いて, 堆積物のREE組成に影響を与える3つ目の主要因の推定を試みた.その結果, 続成マンガンノジュールと類似のREE組成をもつ, 第3の主要因が存在することが明らかになった.それぞれの主要因の影響の強さは, 燐灰石が赤道域で, レス起源物質が中央太平洋・西太平洋北部で, 第3の主要因がハワイ諸島周辺・北太平洋で強いことがわかった.