地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
飛騨外縁帯, 本戸累層の堆積相と礫種構成
大野 研也竹内 誠
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 107 巻 8 号 p. 481-495

詳細
抄録
福井県に分布する飛騨外縁帯本戸累層を岩相層序により3部層に区分し, 層相解析などの堆積学的研究を行った.これらを下位より中島凝灰角礫岩部層, 早稲谷礫岩部層, 雲川礫岩部層と新称する.中島凝灰角礫岩部層は安山岩質火砕流堆積物からなる.早稲谷礫岩部層は土石流堆積物の発達した上部扇状地相からなり, 主に花崗岩類や流紋岩類礫を含み, その供給方向は南北方向である.この早稲谷礫岩部層は, 側方または上位方向にsheetfloodまたはhyperconcentrated flood flow堆積物が発達した中部扇状地相を示す雲川礫岩部層に移化し, 砂岩・泥岩礫が優勢になり, 供給方向は東向きに変化する.堆積相・古流向の各部層間の特徴的な変化から, 早稲谷礫岩部層は断層運動に関連する堆積盆側縁部の堆積, 雲川礫岩部層は堆積盆軸方向の堆積を示唆している.このような特徴から本戸累層は安山岩質火山活動を伴う横ずれまたはリフト堆積盆などで堆積した可能性が高い.
著者関連情報
© 日本地質学会
次の記事
feedback
Top