地質学雑誌
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陸上に露出する無層理堆積物の初磁化率(帯磁率)による対比 : 静岡県,更新統佐浜泥部層の例
星 博幸亀井 春美
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2003 年 109 巻 12 号 p. 697-709

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抄録

陸上に露出する無層理堆積物の対比における初磁化率の有効性を調べるため,佐浜泥部層の初磁化率を5地点の露頭で測定した.測定にはKappameter KT-9を用いた.この初磁化率計の表示値はBartington MS2で決定された体積初磁化率とリニアな関係にある.岩相的に均質で無層理の堆積物だが,ほとんどのセクションで初磁化率に無視できない層序変化が確認された.簡単で早く測定できる初磁化率は,陸上の無層理堆積物の対比に有効な場合があることが明らかになった.初磁化率の層序変化の原因を探るために,採取した試料に対し室内で岩石磁気学的な測定も行った.堆積物には数種類の磁性鉱物が含まれ,初磁化率を支配するものは低温酸化を受けたマグネタイトである.初磁化率変化は基本的にマグネタイト濃度の変化を示す.

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