日本地質学会学術大会講演要旨
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第128学術大会(2021名古屋オンライン)
セッションID: R7-O-2
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R7(口頭)新生代の地質事変記録
下部中新統一志層群の2段階沈降
*木下 英樹山路 敦
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抄録

日本海の背弧拡大時、西南日本孤には伸張テクトニクスが存在した。西南日本孤では、各地で様々なトレンドの下部中新統グラーベンがみられるが、このことは孤内リフティングの方向が多様であったことを示唆する。そういったリフティングの場では必ず、堆積盆形成断層のスリップに走向方向の成分が含まれる。しかしそういった成分は、これまで西南日本では知られてこなかった。

 そこで本研究は、下部中新統一志層群を対象に地質調査を行った。一志層群は、西南日本の中央を横断する中央構造線の北側に分布する。本研究により、一志層群の堆積盆は、正断層および NE-SW 走向の左横ずれ断層に沿うグラーベン群から構成されることが分かった。これらグラーベン形成断層の活動は、堆積盆の sub-basin を画する基盤の高まりをつくった。

 加えて、本研究は、一志層群の中部で低角の傾斜不整合を見出し、その面を境に一志層群を上部と下部に区分した。下部層は、堆積盆の sub-basin を埋積した。また、下部層および基盤岩は上部層にオンラップされた。これらのことは、一志層群の堆積盆が transtension の場で形成され、その堆積盆形成が、不整合が形成された約18~17.5 Ma の間に終了したことを意味する。その後は、正断層のfold-related foldingとしてできたsag

basinに、一志層群上部がたまったのだろう。

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