日本地質学会学術大会講演要旨
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第129年学術大会(2022東京・早稲田)
セッションID: T10-O-11
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T10(口頭).鉱物資源研究の最前線
µXRFによる南鳥島EEZマンガンノジュールの核の元素マッピング
*矢崎 誠中村 謙太郎町田 嗣樹安川 和孝藤永 公一郎加藤 泰浩
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抄録

マンガンノジュールは、マンガンクラスト、海底熱水鉱床、レアアース泥と並ぶ、主要な海底鉱物資源の1つであり、Cu, Ni, Coなど産業的に価値のある金属が豊富に含まれていることから、これらの金属の新たな供給源として注目されている [1,2]。最近、南鳥島周辺の日本の排他的経済水域 (EEZ) においても、マンガンノジュールが広範かつ高密度に分布していることが判明しており、将来の国産資源としての開発が期待される [3,4]。

将来的なマンガンノジュール開発に向けて有望海域を絞り込むためには、その形成環境と分布の支配要因を明らかにすることが重要である。マンガンノジュールは、中心に核が存在しその周りにFe-Mn酸化物が年輪状に沈積して形成される [2]。このことから、核の存在こそがノジュール形成の鍵となる要因であると考えられる。そのため、核の実態を詳細に解明することができれば、ノジュールの成長開始の条件に関する重要な情報を取得することができると期待される。

先行研究では、南鳥島のマンガンノジュール核についてX線CTスキャンとICP-MS分析を行い、形状や密度、化学組成に大きなバリエーションが存在することを明らかにしている [5,6]。さらに、核を構成する岩石には、海山起源と考えられる火山岩、鉄石、燐灰岩などが含まれることも明らかとなっている [6]。しかし、最も多数を占める「固結した堆積物からなる核」の由来は明らかになっていないなど、核の実態は未だ完全には解明されていない。

これまでの研究では、核を単純な岩塊と捉え、それらのバルク (全岩) 分析が行われてきた。しかし、マンガンノジュールの核は、実際には単純な塊ではなく、複雑な内部構造を有していることが微視的な観察の結果からわかってきた。そのため、このような核の実態を詳細に観察・分析によって解明することが、マンガンノジュールの成因を明らかにする上で重要であると考えられる。

そこで本研究では、µXRFによる核の高解像度元素マッピングを実施した。発表では、核の元素マッピングの結果を示し、南鳥島EEZのマンガンノジュールの核の岩石学的・地球化学的特徴と起源について議論を行う。

引用文献: [1] Petersen et al. (2016) Marine Policy, 70, 175–187. [2] Hein et al. (2013) Ore Geology Reviews, 51, 1–14. [3] Machida et al. (2016) Geochemical Journal, 50, 539–555 [4] Machida et al. (2021) Marine Georesources & Geotechnology, 39, 267–279 [5] Shimomura et al. (2018) JpGU meeting 2018. [6] Terauchi et al. (2019) JpGU meeting 2019.

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© 2022 日本地質学会
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