日本地質学会学術大会講演要旨
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第129年学術大会(2022東京・早稲田)
セッションID: G7-P-2
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G7(ポスター). ジェネラル-サブセッション7 海洋地質
西赤道太平洋における中期中新世から後期漸新世の放散虫生層序の報告(IODP Site U1490)
*松崎 賢史上栗 伸一佐川 拓也
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キーワード: 新第三紀, 放散虫, 生層序, IODP
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抄録

浮遊性有孔虫・石灰質ナンノ化石の生層序学研究が行われてきた。現在の西赤道太平洋は高海水温によって大気循環を駆動し全球気候に強い影響力を持つため,新第三紀の高海水温による大気循環の進化を明らかにする目的で、2016年12月に国際深海科学掘削計画(IODP)第363次航海が実施された。結果としては当初の予想通り,IODP Site U1490では海洋底から250mの深さにかけて主な地層は石灰質軟泥であった。しかし、250m以深は放散虫が多い石灰質軟泥が主な地層であることが船上の堆積物の観察から明らかになった。古地磁気層序・石灰質ナンノ化石・浮遊性有孔虫の生層序によるとそのコア深度はちょうど中期中新世・前期中新世の境界と一致する。前期〜中期中新世の放散虫生層序はインド洋・東赤道太平洋での先行研究により確立されている。放散虫が多い石灰質軟泥が堆積する区間のコアキャッチャー試料を処理したところ,保存の良い放散虫化石が産出することが分かった。放散虫生層序の予備調査を行った結果,いくつかの放散虫生層準を認めることができたので,石灰質微化石の年代指標と合わせて前期中新世の年代モデルを作成することができた。特に、前期中新世の前期に対して、石灰質微化石および古地磁気層序が設定されていないため、そこを放散虫化石のみで堆積年代を推定することができた。例えば、Arthophormis gracilis Riedelの絶滅がおよそ347 m CSFに確認できたことからサイトボトムは22.7 Ma の年代であることが明らかになった。さらに、Calocycletta costata(Riedel)、Stichocorys wolffii Haeckel、Dorcadospyris alata (Riedel)などの初産出・絶滅も記録することができた。

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