日本地質学会学術大会講演要旨
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第130年学術大会(2023京都)
セッションID: T1-P-8
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T1.岩石・鉱物の変形と反応
火山ガラスースメクタイト混合系の中速度域での摩擦特性
*奥田 花也廣瀬 丈洋山口 飛鳥
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抄録

火山ガラスとそのスメクタイトとの混合物は、沈み込み帯の浅部でよくみられる。火山ガラスは海底地すべりなどを引き起こすすべり面となることが多く、またその変質生成物であるスメクタイトは最も摩擦強度が低い物質の一つであることから、火山ガラス-スメクタイト混合物の摩擦特性は沈み込み帯の浅部における断層すべり挙動にとって重要である。本研究では、スメクタイト含有量の異なる火山ガラス-スメクタイト混合物について、有効法線応力5 MPa、間隙水圧10 MPaの条件下で、10 μm/sから1 m/sまでの様々な速度条件下での摩擦実験を行った。摩擦係数はどの速度条件においてもスメクタイト含有量に負に依存した。スメクタイト含有率が15-30%の試料では、1-3 mm/sの中速度条件で急激なすべり弱化挙動を示すことがわかった。この中間速度でのすべり弱化挙動によって、自発的なすべりの加速を引き起こすための断層サイズが~10 kmへと拡大し、断層破壊の拡大およびすべりの加速を抑制する。したがって、変質火山灰層のような少量のスメクタイトが含まれる堆積物は、沈み込み帯浅部におけるスロー地震を引き起こしている可能性がある。

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© 2023 日本地質学会
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