日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
慢性期脳卒中患者の嚥下機能に関連する要因分析
高井 逸史
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2008 年 45 巻 2 号 p. 182-187

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抄録
目的:慢性期脳卒中患者を対象に,摂食嚥下リハビリテーションの観点から嚥下機能に影響を及ぼす関連要因を明らかにするため,改訂水飲みテスト(MWST),反復唾液嚥下テスト(RSST)に関連する独立要因の検討を行った.方法:意思疎通困難や呼吸器疾患の合併症は除外し,協力が得られた慢性期脳卒中患者60名(82.6±8.3歳,男性22名,女性38名)を対象とした.MWSTとRSSTの嚥下機能を評価し,「感覚の有無,乾燥の有無,頬膨らまし」など口腔機能,「1分間呼吸数,酸素飽和濃度,心拍数」など呼吸機能,「座位姿勢能力,頸椎の角度,知能状態」など運動·認知機能の4つの機能側面より評価を行った.MWST, RSSTを従属変数に,口腔機能,呼吸機能,運動·認知機能を独立変数として解析を行った.結果:MWSTとRSSTには有意に正の相関関係が見られた(ρ=0.64, p<0.01).MWSTに関連する独立要因として乾燥の有無,感覚の有無,下顎の位置が有意であった(調整済みR2=0.49).RSSTに関連する独立要因として知能状態,感覚の有無が有意であった(調整済みR2=0.44).結論:摂食嚥下障害を有する慢性期脳卒中患者の取り組むべきリハビリテーション課題として,飲水時のむせなど反射性嚥下に問題がある場合は口腔ケアによる口腔機能の改善を,随意性嚥下に問題がある場合はまず認知機能の改善を図ることが重要と考える.
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© 2008 一般社団法人 日本老年医学会
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