日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
バランス練習が要介護高齢者のFunctional Reach Testと重心動揺に及ぼす影響
高井 逸史
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2008 年 45 巻 5 号 p. 505-510

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抄録

目的:注意や判断,言語など認知機能が要求されるバランス練習が要介護高齢者のFunctional Reach Test(FRT),重心動揺(Body Sway:BS)を改善するかどうか検討した.対象:軽度要介護状態の後期高齢者23名(平均年齢81.5±4.8歳)を無作為に運動群と認知群に分類した.方法:運動群は作成したバランスボードを水平に保つ課題とした.認知群は上記の運動メニューに難易度を設定し,身体が感じていること,内的表象を口頭で報告してもらった(内部観察).ベースライン期,介入期,追跡期の歩行速度,FRT, BSを計測した.結果:歩行速度は両群とも変化はなかった.運動群はBS一部に改善が見られたが,持続性は認められなかった.一方認知群はFRT, BS全般に改善が有意にみられ,BS一部に効果の持続性が認められた.結論:認知機能を考慮したバランス練習が姿勢バランスの改善をもたらせた.持続した効果から考えると注意や判断,言語など要求される難易度の設定や内部観察が運動学習につながった可能性が示唆される.

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© 2008 一般社団法人 日本老年医学会
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