2009 年 46 巻 1 号 p. 85-89
症例は75歳女性.急性の両下肢筋力低下を主訴に入院した.入院時所見で近位筋優位の筋力低下と筋把握痛を認めた.当初,臨床症状から多発筋炎を疑ったが,CRPと赤沈が高値で炎症反応を認めたものの,CKとアルドラーゼ,抗Jo-1抗体は全て正常であった.そのため,リゾチーム,ACE,可溶性インターロイキン2レセプターを測定したところ,いずれも高値を示した.臨床症状より,急性·亜急性筋炎型のサルコイドミオパチーが考えられたが,筋生検によりサルコイドミオパチーと確定診断した.サルコイドーシスに多発筋炎を合併することがあるが,本症例のように高齢で,筋肉以外に病変を認めない症例もある.多発筋炎様症状を呈する高齢者で,筋力低下に比しCK上昇が軽度である場合には,サルコイドミオパチーを積極的に考慮し,筋生検で診断を確定することが重要と考えた.