抄録
目的:2007年1月に65歳以上の高齢者が総人口の21.0%になり,超高齢者社会が到来した1).高齢者の増加は近年の肺癌罹患·死亡増加の主因でもある.今後さらに増加するであろう高齢者肺癌に対する外科治療について当施設の手術症例より検討した.方法:1990年から2008年2月まで当施設における肺癌切除例1,760例につき,814例の65歳未満の非高齢者群,952例の高齢者群の2群間,さらには高齢者群を710例の前期高齢者,242例の後期高齢者に分け,臨床的特徴を比較検討した.結果:術式は高齢者群,特に後期高齢者群において縮小手術を行う傾向を認めた.非高齢者群,前期高齢者群,後期高齢者群における術後5生率はそれぞれ66.1%,60.0%,54.1%と各年齢層で有意差を認めた(p<0.01).しかし他病死を除く原疾患のみによる5生率は70.9%,67.7%,65.5%であり有意差を認めなかった.また術後呼吸器合併症は後期高齢者群で有意に高かった.結論:手術適応基準を満たす高齢者肺癌に対する積極的な外科的治療は可能であり,有用である.ただし,合併症対策は十分行う必要がある.