日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
第51回日本老年医学会学術集会記録〈若手企画シンポジウムII(基礎系):高齢者疾患における遺伝素因を探る:病態と治療〉
2.ワルファリン応答性に関わる遺伝因子と臨床的影響
高橋 晴美
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 47 巻 1 号 p. 38-40

詳細
抄録

ワルファリン(WF)の抗凝固効果には大きな個人差が存在するため,至適投与量の設定がしばしば困難となる.WF投与量の個人差に関する多くの臨床試験により,WFの血中濃度はCYP2C9 遺伝子変異により上昇し,一方WFの感受性はVKORC1 遺伝子変異により高くなることが判明している.アジア人や白人においては年齢や体重などの患者背景因子とCYP2C9VKORC1 両遺伝子型によりWF維持量の個人差の60%程度まで説明可能となってきた.そのため米国FDAでは2007年にWF添付文書にCYP2C9VKORC1 遺伝子情報をWF投与量の影響因子として追加した.しかし,INRに加えて両遺伝子検査を全てのWF導入患者に実施することの臨床的有用性は現在のところ確立していない.本稿ではWFの投与量に関与する両遺伝子変異の臨床的意義について,白人とアジア人を対象としたRetrospective試験,並びにProspective試験結果を基に紹介したい.

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top