日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
ひとりで外出できる閉じこもり高齢者の計測による歩行状態について
渡辺 美鈴谷本 芳美河野 令広田 千賀高崎 恭輔杉浦 裕美子河野 公一
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2011 年 48 巻 2 号 p. 170-175

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抄録
目的:閉じこもり予防を支援するために,ひとりで外出できる閉じこもり高齢者の各種歩行能を計測し,閉じこもりに関連している歩行能の特徴を明らかにすることを目的とした.方法:対象者は大都市近郊に在住し,本研究に登録しているADL自立の65~85歳未満の地域高齢者622人(男210人,女412人)である.調査は2008年,2009年の5月に実施した.調査内容は閉じこもりに関するアンケートと6種類の歩行能を測定した.閉じこもりの判定には外出頻度を用い,外出頻度が1週間に1回程度以下を閉じこもり,2~3日に1回以上を非閉じこもりとした.歩行能は通常歩行,最大歩行,Timed Up & Go test,10 m障害物歩行,階段昇降,1日平均総歩数を測定した.結果:閉じこもり率は男性10.0%,女性8.5%で性差や年齢差は認められなかった.閉じこもりは非閉じこもりと比べて,男性では最大歩行,Timed Up & Go test,1日平均総歩数,女性では通常歩行以外の歩行能が有意に低い状態にあった.各歩行の中で閉じこもりと関連するのは,男性では障害物歩行(オッズ比2.49),女性では通常歩行以外の全ての歩行と関連し,特に障害物歩行は4.77と高いオッズ比を示した.男女とも,障害物歩行と強い関連性が認められた.結論:外出可能な高齢者の閉じこもりは非閉じこもりと比べて,男女とも通常歩行速度は同じであるが,認知や高度な動的バランス維持能力を必要とする障害物歩行に低下があることが明らかになった.
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© 2011 一般社団法人 日本老年医学会
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