日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
シンポジウム1:高齢者の嚥下障害,その評価と対応
4.嚥下障害患者における口腔ケアの意義
角 保徳
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 50 巻 4 号 p. 465-468

詳細
抄録
高齢社会の進展に伴い,嚥下障害患者や口腔管理が自立できない高齢者の数も増加しており,QOLの維持や生きがいの観点から適切な嚥下機能,口腔機能を維持・改善することは重要な課題である.嚥下障害患者は,誤嚥性肺炎に罹患しやすい上に,低栄養状態になりやすい.嚥下障害患者に対する口腔ケアは,単に口腔内を清潔にするだけでなく,死亡原因となる誤嚥性肺炎を未然に防ぐとともに,摂食・嚥下機能の改善,脱水や低栄養状態の予防にかかわり,生活の質(QOL)向上の観点からもきわめて重要である.さらに,口腔ケアは機械的刺激が摂食・嚥下リハビリテーションの間接訓練としての役割も果たす.以上のように,嚥下障害患者における口腔ケアの意義は,(1)誤嚥性肺炎の予防,(2)低栄養の予防,(3)摂食・嚥下リハビリテーションの間接訓練の3点が挙げられる.5分間で終了する標準化した口腔ケアである"口腔ケアシステム"は,口腔期のリハビリテーションとして有効性が期待される.
著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top