日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
シンポジウム9:高齢者に対する医療提供の課題と対策
4.高齢者における経管栄養療法の現状と課題~医師・看護師へのアンケート調査からみえてきたこと~
荻田 美穂子荒井 秀典
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2013 年 50 巻 4 号 p. 498-501

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抄録

本邦は欧州に比べ高い割合で高齢者に対し胃瘻を中心とした経管栄養療法(Tube Feeding;TF)が行われている.TFは経口摂取困難者に対する栄養状態の改善には効果がある一方,高齢者の生活の質や長期予後に対する一定した見解はなく,高齢者のTF導入に一定の適用基準は設けられていない.我々は,高齢者のTF導入の実態を解明するため,医師および看護師を対象に高齢者のTFの認識および介入について自記式質問紙調査を行った.結果,医師および看護師の約3~4割は認知症をTFの適応と考えていた.また,多職種カンファレンスに参加しているものは多職種カンファレンスに参加していないものに比べ,嚥下障害に対してより多くの介入を行っていた.本研究より,本邦で高齢者のTFに関する指針が必要とされている一方,専門性の異なる職種が集まるカンファレンスが異論の多い高齢者のTF導入に対して慎重な検討の機会に成り得ることが考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本老年医学会
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