2013 年 50 巻 4 号 p. 506-509
高齢者人口の増加から,高齢者救急患者は今後急増することが予想される.看取りも含めた在宅医療や,医療と介護の連携の習得とともに,急性期病院での救急医療,これに続く地域への退院支援をも含めて一体の高齢者医療システムとしての医学教育プログラムの展開が必要である.高齢者では救急対応が必要な急性疾患であっても,症状や経過が非定型的であることが多く,個人差も大きいことから,高齢者救急の現場で必要とされる検査の習得が必要である.また,高齢者救急例では,原因となる急性疾患以外にも,多臓器の合併症発症の予防,治療が必要とされ,恒常性維持機構易破綻,薬物副作用にも注意する.さらに治療に際しては輸液や循環器薬使用の習熟が必須である.病態や患者が置かれている社会的状況も考慮して個々に治療ゴールの設定が必要となる.