日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
地域高齢者を対象とした「食と運動」による複合的介入が運動継続や主観的健康感に及ぼす影響
高井 逸史
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2013 年 50 巻 4 号 p. 522-527

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抄録

目的:地域高齢者を対象に「食と運動」に関する複合的介入が運動の継続性や主観的健康感に与える影響について検討した.方法:対象者は男性24名,女性20名の計44名(平均年齢71.1±5.0歳),さらに無作為に介入群(23名,平均72.4歳)と対照群(21名,平均69.6歳)2群に分けた.介入群は食栄養講座と集団運動の5回を開催し,毎回講座終了後に介入群全員お弁当による昼食会を実施した.対照群では講座は開催せずお弁当のみ配布した.評価項目は年齢,外出頻度,転倒歴,運動頻度,運動時間,運動に対するSelf-Efficacy(運動SE),運動習慣の変容ステージ,主観的健康感であった.評価は介入前と介入後,さらに追跡後の計3回実施した.結果:介入群の講座の出席率は90%を超えていた.両群の比較の結果,介入後では運動頻度(p=0.001),運動時間(p=0.02)そして運動SE(p=0.012)において有意差が認められた.追跡後では運動頻度(p=0.027)と運動SE(p=0.043)において有意に群間差が認められた.考察:食栄養講座と集団運動からなる複合的介入により,運動の継続性や運動SEが維持・向上することが示唆された.運動実施回数を運動カレンダーに記録し,声かけや賞賛するなど言語的説得が得られた結果,運動継続性の向上がみられたと考える.主観的健康感の群間差はみられなかったが,介入後に向上傾向がみられた.意見交換や会食により,対象者間のつながりが深まり互助・共助が活性化し自主運動が定着化した結果,介入群の主観的健康感向上につながったと考える.

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© 2013 一般社団法人 日本老年医学会
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