日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
シンポジウム2:更なる健康長寿をめざして:超高齢社会における老年学の役割
3.健康長寿を支えるケアのあり方―男性独居高齢者の生活習慣と社会的交流をめぐって―
田高 悦子
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2014 年 51 巻 1 号 p. 49-52

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抄録

わが国では,今後,独居高齢者が急増する.65歳以上の男性世帯主のうち独居の割合は,05年の11.0%から30年には21.5%になると推計されており,男性高齢者の5人に1人は独居となる.しかしながら男性独居高齢者は女性独居高齢者に比してセルフケアや生活習慣に課題を有しやすく,また他者や地域社会との交流が乏しくなりがちで社会的孤立のリスクがあることが指摘されている.このような中で,我々は,男性独居高齢者の健康長寿を支えるケアのあり方を講ずる立場から,すなわちその人がその人らしくできるだけ長く住み慣れた地域で自立した生活を維持するための方策の確立を目指す立場から,高齢者の生活習慣と社会的交流の要因に着眼した,地域を基盤とする健康教育プログラムを開発し,男性独居高齢者のセルフケア能力の向上ならびに社会的交流に対する動機付けに一定の有効性を確認した.今後,わが国における一人ひとりの高齢者の健康長寿を目指すとともに,豊かな超高齢社会を実現するためには,地域を基盤とした高齢者個人と地域社会双方への両輪的なアプローチについて学術的にも施策的にも推進することが必要である.

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© 2014 一般社団法人 日本老年医学会
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