日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
症例報告
転移性脳出血後,急速な経過をたどった腎紡錘細胞癌の1剖検例
佐々木 真理阿部 庸子豊島 堅志泉本 典彦金子 英司下門 顕太郎
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2014 年 51 巻 6 号 p. 564-568

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抄録

2型糖尿病で通院中に施行した腹部超音波検査で偶発的に発見され,急速な転機をとった腎紡錘細胞癌の症例を報告する.症例は67歳の女性で,自覚症状がない状態で右腎腫瘍・多発肺転移を指摘された.インターフェロン治療後に原発巣手術を予定されていたが,診断から2カ月後に脳転移由来の視床出血をきたした.手術に至らないまま原病が進行し,診断から約6カ月で死亡した.剖検の結果,原発巣は右腎紡錘細胞癌であり,脳・肺・消化管を含む多臓器への遠隔転移が認められた.一般的に腎紡錘細胞癌は急速な経過をとる稀な腫瘍と報告されており,有効な治療法も確立されていない.高齢者の急速に進行する悪性腫瘍に対しては,健診を通じて早期発見を目指すとともに,専門科と連携し早期の診断と予後予測,治療方針の決定が望ましい.

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© 2014 一般社団法人 日本老年医学会
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