日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年医学の展望
高齢者にやさしいまちづくり
~Age-friendly cities and communities in AKITAの取り組み~
大田 秀隆
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2022 年 59 巻 3 号 p. 275-283

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抄録

我が国ではますます高齢化が進み「少子高齢化」,「人口減少」,「健康寿命の延伸」という課題が様々な分野で取り上げられて久しいが,有効かつ具体的な取り組みという点ではまだまだ不十分であると思われる.現在日本の各地方では東京や大阪などの大都市とは異なり,医療に関係する医師や病院不足に加えて,道路や通信,公共交通機関,銀行や郵便局,スーパーなどの生活基盤を支えるための必要なインフラがすべて崩壊しつつあり,村や集落が打ち捨てられていく現状が顕在化している.特にこれらの影響を直接受けるのは地域在住の高齢者であり,救えた命が救えなかったという現場を目の当たりにすることも起きている.今後我が国は大都市一極集中型になっていくのであろうか?それとも地方分散型になるのであろうか?このようなオルタナティブな状況は世界各国でも日本ほど進んでいるわけではないが同じような傾向があり,他国から日本の取り組みについて意見を求められる場面が多くなっている.本稿では,世界保健機関(WHO)が主導で進めている「高齢者にやさしい都市(Age-friendly cities)」についてその経緯や最近の活動内容を紹介しつつ,英国マンチェスター大学と秋田大学の取り組みや秋田市の取り組みについてもご紹介させていただきたい.

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© 2022 一般社団法人 日本老年医学会
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