日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
自立生活を営む地域在住高齢者のQOLと嚥下機能および心身機能との関連
巻 直樹松田 ひとみ荒木 章裕Thomas Mayers石井 亮太
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2024 年 61 巻 3 号 p. 355-362

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抄録

目的:地域在住自立高齢者において,健康関連QOLと嚥下機能,心身機能との関連について検討した.方法:日本に在住する65歳以上の地域在住自立高齢者500人(男性250人,女性250人)を対象とし,嚥下機能と睡眠,うつ,孤独感および,健康関連QOLに関するインターネットアンケート調査を実施した.調査項目はBMI,摂食・嚥下障害スクリーニング法(DRACE),健康関連QOL(SF-8),ピッツバーグ睡眠質問票日本語版(PSQI-J),うつ評価(GDS),日本語版UCLA孤独感尺度であった.回答が得られた500人に対して,DRACE得点および誤嚥リスクなし群と誤嚥リスクあり群に分け比較し,ロジスティック回帰分析を実施,QOL(SF-8)の身体サマリースコア(PCS)・精神サマリースコア(MCS)を従属変数とする重回帰分析を用いて解析した.結果:誤嚥リスクあり群に関連する変数として,ロジスティック回帰分析では,SF-8のPCS・MCSの低下が見出された.また,QOL(SF-8)を従属変数とする重回帰分析ではBMI,GDS,PSQI-J,DRACE合計点,日本語版UCLA孤独感尺度が抽出された.結論:本調査における高齢者の健康関連QOLは誤嚥リスクや睡眠の質との関連性が見出され,心身・社会的な機能への広範囲に及ぶ関連が明らかとなった.これらの関連要因は,誤嚥リスクからも地域在住高齢者の自立した生活やQOLを脅かす可能性があり,摂食・嚥下機能に着目する必要性が示唆された.

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© 2024 一般社団法人 日本老年医学会
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