日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
急性期病院における看護師に対する研修会と定期的な事例検討会を活用した認知症・せん妄教育プログラムの開発と効果検証
森山 寿伸鈴木 みずえ牧野 真弓
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2026 年 63 巻 1 号 p. 48-59

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抄録

目的:急性期病院の看護師を対象に,認知症・せん妄看護の実践能力向上を目指し,パーソン・センタード・ケアを基盤とする研修会と定期的な事例検討会を活用した認知症・せん妄教育プログラムを開発した.本研究の目的は,本プログラムの効果について,看護師の認知症・せん妄看護に関する知識および自己効力感,ならびに患者の転倒転落数,ルート・チューブ自己抜去数,身体拘束数の介入前後の比較により検証することである.方法:2023年11月~2024年1月の3カ月間,7対1看護基準を算定する急性期病院の消化器外科1病棟の看護師25名を対象に,本プログラムを実施し,アウトカム項目について介入前後で比較を行った.看護師アウトカムは,認知症・せん妄看護に関する知識および自己効力感についてアンケート調査を実施した.患者アウトカムは,転倒転落数,ルート・チューブ自己抜去数,身体拘束数をカルテからデータ収集した.介入方法は,60分の研修会1回と,週2~3回実施される定期的な事例検討会であった.結果:看護師の認知症・せん妄看護に関する知識および自己効力感は,介入前と比較して介入後有意に向上していた.認知症・せん妄患者合計数が介入前と比べ有意に増加する中で,認知症の行動・心理症状(BPSD)やせん妄の状態にある患者数(認知症高齢者日常生活自立度判定M)は有意に減少した.患者のルート・チューブ自己抜去数や身体拘束数は介入後有意に減少した.転倒転落数は有意差を認めなかったが,介入前の計2件から介入後0件に減少した.結論:本プログラムは,看護師の認知症・せん妄看護に関する知識および自己効力感の向上と,患者のルート・チューブ自己抜去数や身体拘束数の減少につながる有効な介入であることが示唆された.

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