日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
加令と血清アミラーゼ
宮田 学遠藤 治郎亀山 正邦
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1978 年 15 巻 1 号 p. 49-54

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抄録

外来受診者で, 重篤疾患や, とくに膵疾患を思わせるものを認めない11歳~102歳の男女322例 (男162例, 女160例) を対象として, 血清アミラーゼ活性を測定した. 血清アミラーゼ値の年代別変動は, 20歳代より70歳代まで漸増傾向を示し, 80歳代以上では低下した. 年齢と血清アミラーゼ値の間には推計学的に1%の有意水準で, 有意の正の相関を示した (r=0.287, n=322).
血清アミラーゼ値と他の血清化学成分諸検査値との相関をみると, 尿素窒素との間に1%の有意水準で正の相関々係がみられ (r=-0.235, n=322), 血清アルブミンとの間に1%の有意水準で負の相関々係がみられた (r=-0.235, n=322).
加齢に伴う血清アミラーゼ上昇の機序は, 膵の組織学的歪みを反映した膵酵素逸脱の増加とともに, 腎機能低下による排泄障害が考えられる. また80歳以上の超高齢群では, 膵酵素自体の産生低下が想定される.

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