ビタミンB6欠乏猿の動脈硬化性変化は大動脈を始めとして細動脈に到る広範な領域におこり臓器分布的にも大動脈, 腸骨動脈を始めとして心, 腎, 膵, 脾, 睾丸, 腸間膜, 脳等多くの臓器動脈にみられることはすでに報告した. 今回はこれらの動脈硬化症が pyridoxine を負荷することによって回復するか否かを動的に検討した. 欠乏食飼育12カ月後に pyridoxine を添加して回復実験を行ない, 2カ月, 6カ月, 12カ月後における硬化性病変は回復期間の延長とともに軽度となりその reversibility を確認した. この実験からその完全な回復にはかなり長期間を要することが想像された. また回復の速さは硬化性病変の発生が各種臓器により異ると同様かなり臓器特異性があり, とくに冠動脈ではその reversibility が強い.